交流を流したコイルを試験体に近づけ、磁界の作用によって試験体に発生する渦電流が、キズ(欠陥)や材質の影響による変化を検出し、探傷や材質などの試験を行うものです。
渦電流の発生が電磁気学における電磁誘導の法則に基づくことから電磁誘導試験と呼んでいますが、渦電流試験、渦電流探傷試験という名称も一般的に用いられています。
交流を流したコイルを導体(試験体)に近づけると、コイルの周囲に生じた磁界(磁束で示します)が導体に作用します。
コイルの磁界が交流であることから、導体を貫く磁束の向きと数が時間的に変化します。
この時導体には導体を貫く磁束変化を妨げる起電力が生じます。この電流をその形から渦電流(渦流)と呼んでいます。
電磁誘導試験(渦電流)の種類
渦電流(渦流)が試験体の種々の材料因子、キズ(欠陥)などにより変化する事から、電磁誘導試験、探傷試験など幾つかの試験に適用されます。
試験 | 渦電流影響因子 | 適用対象 |
---|---|---|
探傷試験 | キズ(欠陥) | 鉄、非鉄材料の管、棒、線、板など |
材料試験 | 導電率の変化 | 非鉄材料 |
透磁率の変化 | 鉄鋼材料 | |
膜厚試験 | 導体-コイル間距離の変化 | 金属面上の絶縁体の膜厚 |
厚さの変化 | ||
寸法試験 | 寸法、形状変化 | 非鉄、鉄鋼材料 |